~ 終わりと始まり ~
彼はとっても腕の良い料理人。
町外れにひっそり佇むレストランで美味しい料理を出しておりました。
彼の作る料理はとっても美味しいのですがレストランのある場所が悪いのか沢山のお客が来る人気店、
とまでは嘘でも言えないほどお店はいつも暇でした。
ある日、一風変わったお客が来店し、ここでしか食べれない料理を出してくれないかという注文が。
料理人は季節のものや旬なものを使って自慢の腕をふるい美味しい料理を作りました。
そのお客はその料理に感動し、明日もくるよと言い残し店を出ていきました。
次の日、そのお客は同じ時間に来店。
今度は別の食材を使ったものを作ってくれと注文しました。
その日も出された料理に感動し、また明日もくるよと言い店を出ていきました。
次の日もその次の日もそのまた次の日もそのお客は別の料理を注文するのでした。
何日も何日も経ったある日、その日もそのお客は席につくと別の新しい料理を出してくれと注文しました。
料理人は申し訳なさそうにこう言いました。
「申し訳ございません。当店で出せる料理は全て出してしまいました。
真新しい食材もありませんので何かお気に入りのものなどございましたらお作り致しますが。」
するとそのお客はこう返しました。
「私は新しいものを食べるのが本当に好きで好きでたまらないのです。
特にお肉が好きでして食べれる物はほとんど食べました。」
「牛、豚、鶏と同じで、どんなお肉も育った環境によって柔らかさや味などが全然違うんです。
あなたはヒトを召し上がったことはございますか。とても美味しいですよ、特に美味しいのは子どもなんです。」
料理人はお客の突然の話に怖くなりました。
すると震える料理人を見つめるお客はにやりと笑いこう言いました。
「まだ食材があるじゃありませんか。
あなたは美味しい料理を作れる人はきっととても美味しいはずだと思いませんか。」
今日は晩餐会の日。
美食家の男が作る本日のフルコースは特別です。
お客様は今まで味わったことのない熟成されたお肉に舌鼓を打ち、とても好評。
この度の晩餐会も大成功となりました。
今宵の晩餐会もお楽しみいただけましたでしょうか。
あ、スタッフが全員黒い服を着ていたのお気付きでしたか。
そう、今日はある料理人の命日でして、皆んなその為喪服を着ておりました。
本日のお料理ご満足いただけましたら幸いです、特にお肉料理が絶品です。
私も好きなんです、やはり美味しい料理を作れる人のお肉は格別ですから。
『イベント演出・構成』
Yuki ・Mayumi
『イベント総合演出・絵』
Takuya
『宣伝ムービー・サイト制作』
Shogo
『料理長』
F umihisa
『イベント総合責任者』
M ayumi
『スペシャルサンクス』
Tsubasa& Miki & Sachie & Eri